技能実習から育成就労へ。北海道企業に問われる「受け入れの質」
制度が変わっても、現場での重要性は増している
技能実習制度は、2027年4月から始まる「育成就労制度」へ移行します。
しかし、制度が切り替わるからといって、技能実習の役割がすでに小さくなっているわけではありません。北海道労働局によると、2025年10月末の道内の外国人労働者は5万1,358人。そのうち技能実習は1万9,964人で、全体の38.9%を占めています。
技能実習の人数は、前年から1,490人、8.1%増えました。制度移行を前にした今も、北海道の産業を支える大きな存在です。
3年間で約1.6倍、受け入れは増え続けている
道内の技能実習の外国人労働者は、2022年の1万2,530人から、2025年には1万9,964人へ増えました。3年間で7,434人、約59%の増加です。
製造業、農業・林業、建設業など、北海道の暮らしに直結する現場ほど、外国人材の存在感が高まっています。農業だけを見ても、2025年10月末の技能実習は2,719人。特定技能の2,664人と並び、地域の生産を支えています。

2027年4月、制度の目的が変わる
技能実習は、日本で修得した技能を母国へ移転する「国際貢献」を目的としてきました。一方、育成就労は、人手不足分野での「人材育成」と「人材確保」を明確な目的に置きます。
原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準まで技能を育て、その先のキャリアにつなげる制度です。名称が変わるだけではありません。仕事の教え方、日本語学習、評価、将来の働き方までを一つの道筋として設計することが求められます。
「転籍できる時代」は、選ばれる職場をつくる
育成就労では、一定の技能・日本語能力や就労期間などの要件を満たせば、本人の意向による転籍が認められます。
これは企業にとって、採用した人を囲い込む発想から、働き続けたいと思われる職場をつくる発想への転換です。賃金だけではなく、仕事を覚えられるか、日本語を学べるか、困ったときに相談できるか、努力が評価されるか。日々の職場体験そのものが定着を左右します。
受け入れルールは、経営者だけでは守れない
北海道労働局が2024年に監督指導した技能実習の実習実施者427事業場のうち、300事業場で労働基準関係法令違反が確認されました。違反が疑われて監督対象となった事業場の結果であり、道内の全受け入れ企業の7割という意味ではありません。
それでも、安全基準、割増賃金、労働時間などの基本が課題になっている事実は重く受け止める必要があります。制度担当者が理解しているだけでは足りません。現場の上司や同僚まで、労働条件、人権への配慮、安全な指導方法を共有することが重要です。
準備の中心は、申請書より育成の設計
育成就労計画の施行日前申請は、2026年9月1日から始まる予定です。受け入れを検討する企業は、監理支援機関との役割分担に加え、3年間で何を身につけてもらうかを具体化する時期に入っています。
北海道では、住居、交通、冬の暮らし、医療、防災など、仕事の外にも地域特有の課題があります。技能と日本語の育成だけでなく、安心して生活できる環境まで整えてこそ、外国人材は地域に根づきます。
「何人受け入れるか」から「どんな人財を育てるか」へ
技能実習から育成就労への移行は、外国人材の受け入れを見直す節目です。
問われるのは、制度を利用できるかだけではありません。学び、働き、暮らしながら成長できる関係をつくれるか。その積み重ねが、外国人材を一時的な働き手ではなく、北海道をともにつくる地域人財へ変えていきます。
受け入れの「数」から、育成と定着の「質」へ。準備は、すでに始まっています。

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