育成就労制度とは?制度目的・施行時期・技能実習/特定技能との違いをQ&Aから整理(2025年12月26日版)
※本記事は「育成就労制度Q&A(2025年12月26日版)」の内容を、受入れ企業・監理支援機関・登録支援機関の実務目線で読みやすく整理したものです。分野別運用方針・運用要領など、今後追加公表される情報で運用が具体化していきます。
- 1. 制度の目的は「人材育成+人材確保」へ(技能実習からの転換)
- 2. 施行日・スケジュール(いつから受け入れできる?)
- 3. 受入れ見込数(受入れ上限)は設定される?
- 4. 育成就労の基本ルール(3年で何を目指す?)
- 5. 技能実習・特定技能との違い(ここが重要)
- 6. 「単独型」と「監理型」はどうなる?
- 7. 監理団体は「監理支援機関」へ(許可要件が強化)
- 8. 受入れ企業(育成就労実施者)側の主な新要件
- 9. 「指定区域」と地方配慮(北海道に関係が深い論点)
- 10. 転籍(本人意向の転籍)が導入される:企業が備えるべきこと
- 11. 日本語要件(入国時は不要/就労開始前までにA1、目標A2)
- 12. 二国間取決め(MOC):原則「締結国」からのみ受入れへ
- 13. 育成就労→特定技能1号への移行(技能実習ルートと扱いが違う)
- 14. 施行時点で技能実習中の人はどうなる?(経過措置)
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1. 制度の目的は「人材育成+人材確保」へ(技能実習からの転換)
育成就労制度は、人手不足分野において、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の人材を育成し、確保する制度です。
技能実習と特定技能の間に連続性を持たせ、「働きながらキャリアアップできる分かりやすい制度」をつくることで、長期的に産業を支える人材確保を目指します。
なぜ新制度が必要になったのか
現行の技能実習制度は、制度目的(国際貢献)と実態の乖離、外国人の権利保護などの課題が指摘されてきました。
一方、日本の人手不足は深刻化し、国際的な人材獲得競争も激化しています。そこで、日本が外国人から「選ばれる国」となるために、技能実習を発展的に解消し、人材育成・人材確保を目的とする制度として育成就労制度が創設されました。
2. 施行日・スケジュール(いつから受け入れできる?)
運用開始(施行日)
- 令和9年4月1日(2027年4月1日):育成就労制度の運用開始/特定技能制度の適正化等の施行日
施行日前の申請(予定)
- 令和8年度(2026年度):
- 監理支援機関の許可
- 育成就労計画の認定
について、施行日前申請を受け付ける予定(詳細は今後公表)
実際に受け入れ可能になるのは?
- 育成就労外国人を受け入れられるのは、施行日(2027年4月1日)以降です。
3. 受入れ見込数(受入れ上限)は設定される?
特定技能と同様に、分野ごとの受入れ見込数(上限)が設定される方針です。
日本人の雇用機会の喪失や処遇低下を防ぐ観点から、生産性向上や国内人材確保に取り組んでも不足する人数を踏まえて運用されます。
4. 育成就労の基本ルール(3年で何を目指す?)
在留・就労期間
- 原則3年間の就労で育成(=特定技能1号への移行を目指す)
- 3年経過時点で、移行に必要な試験が不合格の場合
→ 最長1年の範囲で在留継続が認められる方針
目標(到達水準)
育成就労の目標は「特定技能1号」取得に必要な水準として、次を基本に設定されます。
- 技能:技能検定3級、特定技能1号評価試験などへの合格
- 日本語:日本語教育参照枠 A2相当の試験合格(分野により上乗せあり得る)
「主たる技能」と業務の範囲
- 修得すべき「主たる技能」に必要な必須業務に、就労時間の3分の1以上従事
- 業務区分の範囲内で、関連業務にも従事可能
分野をまたぐ就労はできる?
- 原則不可。例:**「夏は農業、冬は漁業」**のように分野をまたいで働くことはできません(育成の一貫性確保のため)。
派遣形態は可能?
- 季節性のある分野(農業・漁業を想定)では、派遣元・派遣先が共同で育成就労計画を作成し、認定を受けることで派遣形態が可能とされています。
閑散期の一時帰国は?
- 一時帰国自体は可能ですが、通常は帰国期間を除いて計画を立てることは不可。
- ただし、季節分野の派遣形態では、毎年同時期に最大6か月の帰国を組み込んだ計画が認められ、帰国期間は育成就労期間に含まれません(合計就労3年になるよう計画)。
5. 技能実習・特定技能との違い(ここが重要)
技能実習との違い(最重要ポイント)
- 制度目的が違う
- 技能実習:技能修得を通じた国際貢献
- 育成就労:人手不足分野の人材育成+人材確保
- 権利保護の観点から、技能実習では原則認められなかった
「本人意向の転籍」が、一定条件の下で認められる方向
特定技能との違い
- 特定技能:即戦力(一定の専門性・技能が前提)
- 育成就労:入国時点では即戦力要件はなく、働きながら育成して特定技能1号へが前提
- 在留期間
- 育成就労:原則3年
- 特定技能1号:原則5年
- 特定技能2号:上限なし(分野要件あり)
- 仕組みの違い
- 育成就労:育成就労計画の認定、監理支援機関の許可、送出費用の上限など保護・適正化の仕組み
- 特定技能:所属機関に支援義務がある(登録支援機関の活用領域)
6. 「単独型」と「監理型」はどうなる?
育成就労にも、技能実習と同様に2区分があります。
- 単独型育成就労:受入れ企業が監理支援機関の関与なしで実施
- 監理型育成就労:監理支援機関が関与して実施
※技能実習で「企業単独型」で受け入れていたケースの一部は、制度見直し後、要件によって「企業内転勤2号」へ移る想定も示されています。
7. 監理団体は「監理支援機関」へ(許可要件が強化)
育成就労では、技能実習の監理団体に相当する機能を担うのが監理支援機関です。
ただし、監理団体がそのまま自動的に移行できるわけではなく、新たに許可を受ける必要があります。
許可要件の例(強化される点)
- 外部監査人の設置
- 債務超過がないこと
- 監理支援を行う受入れ機関が原則2者以上
- 常勤役職員2名以上+受入れ企業数・外国人数に応じた体制要件 など
8. 受入れ企業(育成就労実施者)側の主な新要件
技能実習の枠組みを引き継ぎつつ、以下のような要件が追加されています(要旨)。
- 行方不明者を一定期間内に発生させていない
- 同種業務の労働者を不適切に離職させていない(例外あり)
- 労働・社保・租税法令の遵守
- 送出機関等からの不適切な利益供与の受領をしない
- 労働条件等の説明を直接またはオンラインで実施
- 分野別協議会への加入 など
受入れ人数枠
- 常勤職員数に応じた受入れ上限(人数枠)を設定
- 優良認定で枠拡大あり
- 経過措置として、継続中の技能実習生もカウントに含める扱いが示されています。
9. 「指定区域」と地方配慮(北海道に関係が深い論点)
育成就労外国人が大都市圏へ過度に集中しないよう、告示で定める地域を**「指定区域」**とし、地方配慮が組み込まれます。
指定区域にある優良企業が、優良な監理支援機関の支援を受ける場合、受入れ枠の拡大があり得ます。
指定区域かどうかは、受入れ企業の本店所在地で判断されます。
10. 転籍(本人意向の転籍)が導入される:企業が備えるべきこと
育成就労では、従来どおり「やむを得ない事情(人権侵害等)」での転籍に加え、本人意向の転籍が一定条件で認められます。
本人意向転籍の要件(要旨)
- 分野別に定める技能・日本語水準の修得
- 転籍制限期間(1年以上2年以下が基本、分野で設定)を経過
- 民間職業紹介の利用をしていないこと
- 転籍先が「優良」な育成就労実施者であること
- 転籍者割合の上限(例:本人意向転籍者が総数の3分の1超は不可等)
- 転籍に伴う費用(告示で定める額×在籍期間按分)を転籍先が負担 など
ここは今後、現場に最も影響が大きいポイントです。
受入れ側は「辞めさせない」ではなく、「定着する環境をつくる」へ、設計思想の転換が求められます。
11. 日本語要件(入国時は不要/就労開始前までにA1、目標A2)
- 入国時点で技能・日本語要件は原則なし
- ただし、就労開始前までに
- 日本語 A1相当以上の試験合格 または
- 認定日本語教育機関等の A1相当講習100時間以上
が求められます(当分の間の代替措置あり)
- さらに、3年間の育成として
- A2相当講習100時間以上の機会提供が受入れ側に求められる
- オンライン受講も可能(双方向性など要件あり)
- 講習費用は、受入れ側(育成就労実施者または監理支援機関)が措置する前提
12. 二国間取決め(MOC):原則「締結国」からのみ受入れへ
悪質な送出機関排除のため、育成就労は原則として二国間取決め(協力覚書:MOC)を作成した国からのみ受入れとされます。
また、送出機関が本人から徴収できる費用には上限が設けられ、
- 上限:月給(所定内月額)の2か月分まで
- 超える部分は:受入れ企業または監理支援機関が負担
13. 育成就労→特定技能1号への移行(技能実習ルートと扱いが違う)
- 育成就労から特定技能1号へは、原則として
技能試験+日本語A2相当以上試験の合格が必要
(技能実習2号良好修了の「試験免除」とは異なる設計) - 育成就労の途中で特定技能1号へ移行できる可能性も示されていますが、
一定の就労期間経過など条件付きです(詳細は今後整理)
14. 施行時点で技能実習中の人はどうなる?(経過措置)
2027年4月1日時点で
- 既に来日している技能実習生
- または、同日までに技能実習計画の申請がなされ、原則として施行日から3か月経過まで(2027年6月30日まで)に技能実習を開始する人
は、原則として技能実習を継続できます。
一方で、施行後に「技能実習生として再度入国」は原則できなくなり、内容によっては育成就労計画での入国が検討対象になります。
キタカラ視点:今から企業がやっておくべき3つの準備
制度の骨格が見えるほど、勝負は「施行後」ではなく「施行前」に決まります。今からできる準備は、次の3つです。
- 社内の育成設計(3年ロードマップ)を先に作る
- 必須業務(就労時間の1/3以上)を中心に、OJT・評価・日本語学習の配置を設計
- “転籍されない職場”の条件を整える
- 生活・人間関係・現場の教え方・相談導線
- 制度が変わるほど、現場の「受入れ品質」が定着率を左右します
- 自社が必要とする人材像を言語化し、送り出し〜受入れの接続を強くする
- 来日前の説明と、来日後の現実がズレるほどミスマッチが起きます
- キタカラは、来日前段階からの情報接続・教育接続を重視します
お問い合わせ
キタカラでは、育成就労の受入れ支援は行っておりませんが、特定技能の前の整理(要件確認/育成設計/現場導線づくり)から、受入れ後の運用まで、企業の実態に合わせて伴走します。
「うちは何から着手すべきか?」の段階から、お気軽にご相談ください。

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