【業界情報】2027年4月開始「育成就労制度」 転籍条件と分野ごとの就労期間案
政府は9月17日、技能実習制度に代わる新たな仕組み「育成就労制度」について、転籍(職場変更)までに必要な就労期間の案を公表しました。
制度は2027年4月に開始予定で、年内に閣議決定される見込みです。
転籍の基本ルール
- やむを得ない事情(暴力・ハラスメント・重大な契約違反など)があれば即時転籍が可能
- 本人の希望による転籍も条件付きで認められる
- 転籍制限期間は「原則1年」だが、分野ごとの事情を踏まえ1~2年の範囲で設定
さらに転籍を希望する場合には、
- 技能検定基礎級や「育成就労評価試験」
- 日本語能力(A1~A2水準以上)
などの合格が要件となります。
分野別 就労期間案
2年とされた分野(7分野)
介護、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業
→ 背景には「技能習得や安全確保に一定の時間が必要」「地方から都市部への人材流出防止」などの事情があります。
1年とされた分野(9分野)
宿泊、鉄道、農業、漁業、林業、木材産業、物流倉庫、ビルクリーニング、リネンサプライ
→ 比較的早い段階で技能が習得可能とされ、1年での転籍が可能と整理されました。
待遇改善の仕組み
- 2年制分野では昇給義務が課されます。
- 各分野の協議会が「毎年の昇給率」を定め、それに基づき1年目から2年目にかけて賃金を引き上げる必要があります。
- 介護分野では「処遇改善加算の取得」が必須となり、日本人・外国人ともに昇給が担保されます。
制度に対する疑問と課題
転籍と日本語検定の関係
転籍には日本語試験合格が条件とされています。
これまでは「日本語力が上がるなら」と企業が協力してきましたが、今後は「転籍を前提とした試験」と見られ、企業側が協力をためらう懸念があります。
分野ごとの線引きの根拠と妥当性
「技能習得に時間がかかるから」「安全性のため」と説明されていますが、一律に分野ごとで区切る根拠と妥当性には疑問が残ります。
現場の仕事内容や人材の適応力は多様であり、分野単位の区分が実情に即しているとは言い切れません。
職業選択、居住・移転の自由とのバランス
労働者には本来、職業選択や居住・移転の自由があります。
やむを得ない事情だけでなく、ミスマッチが生じた際の転籍は、年数制限よりも優先されるべきです。
本当に課題なのは別のところ
① 都市部への人材集中
転籍自由化の下では、より条件の良い都市部へ人材が流れ、地方に人材が根づかず「人手不足の解消」どころか格差拡大につながる恐れがあります。
② 受入れ企業の初期コスト負担
外国人材を迎える企業は、入国前から住居手配・旅費・紹介料など多額の初期費用を負担します。
すぐに転籍されると投資回収ができず、特に地方の中小企業には大きな負担となります。
③ 「次が来るまでの空白期間」
離職から後任着任まで数か月かかるのが現状です。
この間は既存社員への負担が増し、業務縮小に追い込まれるケースも多く、現場のダメージは大きいといえます。
まとめ
育成就労制度は技能実習制度の課題を改善する方向性として注目されますが、制度設計で本当に重視すべきは「転籍までの年数」ではなく、
- 都市部への人材集中をどう防ぐか
- 初期コスト負担をどう公平にするか
- 空白期間をどう最小化するか
という点です。
「人材が安心して働き、企業が安心して受け入れられる仕組みづくり」こそが制度の本来の目的に沿うものであるといえます。
📞 090-7641-4582
✉ info@kitacarat.com
🌐 https://kitacarat.com

コメント