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外国人雇用のコンプライアンス──「知らなかった」では、もう済まされない時代へ

「監理団体がOKと言っていたから、大丈夫だと思っていました」
「他の会社もやっているって聞きました」
「本人が納得して働いていたので、問題ないと思っていました」

こうした声を、私はこの仕事に携わってから、何度となく耳にしてきました。

しかし、はっきり申し上げます。

いまや、これらの言葉は、企業の責任逃れとして通用しない時代に入っています。


「制度を使う」だけでは、通用しない

外国人材を受け入れるということは、
単に制度を活用して人手を確保することではありません。
それは──「人を迎え入れる」という行為そのものです。

制度に乗せただけで、労働力として自然に機能してくれるわけではありません。
その人のこれまでの人生や背景を知り、
言葉や文化の違いに寄り添うのが受入れ企業の役割であり、
「この地域で生きていける人」になるように、
一歩一歩、支えていくのが、登録支援機関の責任である。
単なる制度対応ではたどり着けない、本質的な支援のかたちです。

そしてその出発点こそ、
制度の趣旨を正しく理解し、真摯に遵守する姿勢です

制度とは、本来「人が安心して働き、暮らすための土台」。
その趣旨を軽んじた運用や、形式だけの運用では、
いずれ人も企業も、信頼を失ってしまいます。

ルールを守るとは、取り締まりを恐れることではありません。
人を守るために、ルールを使いこなすこと。

制度を活かすとは、書類を整えることではなく、信頼を積み重ねること。

私たち自身が、そうした覚悟をもって、
外国人材一人ひとりと向き合っていく必要があるのではないでしょうか。


よくある違反①:在留資格と業務内容のミスマッチ

実は、最も多い違反がこれです。

  • 技人国(技術・人文知識・国際業務)ビザの人に、単純作業をさせる
  • 特定技能ビザの人材を、他の職種に応援として入れる
  • 留学生アルバイトを28時間以上働かせる

どれも、法律で明確に禁止されていることです。
そして「本人が了承していた」「他の企業もやっていた」という言い訳は、
残念ながら、一切通用しません。


よくある違反②:特定技能の“支援義務”を履行していない

特定技能制度では、外国人材の就業・生活を支えるため、
登録支援機関または受け入れ企業自身が10項目にわたる支援義務を果たすことが求められています。

これは「制度上の義務」であると同時に、
外国人材の不安や孤立を防ぎ、定着を後押しするための信頼の土台です。

しかし、現場ではその“義務”が形骸化し、
「やっているつもり」「書いてあるだけ」になっているケースが後を絶ちません。


よく見られる実態の一例:

  • 支援計画は作成済だが、実際には内容を実行していない
     →「提出用に整えた」だけの、実態を伴わない計画
  • 定期面談は形式的、短時間の定型ヒアリングのみ
     →本人の様子や現場の声に耳を傾ける余地がない
  • 配属前のオリエンテーションが未実施または形式化
     →文化・生活ギャップの混乱が現場に波及
  • 計画と実態が大きく齟齬していることを、誰も確認していない
     →「帳尻合わせ」や「慣習的な対応」で済まされている
  • そもそも初回面接が未実施、もしくは候補者との接点がないまま受け入れ
     →誰を受け入れたのかさえ、企業側が把握できていないケースも

これらは、いずれも制度の目的を損なう重大なコンプライアンス違反です。

しかも厄介なのは、

「形式的には満たしている」ように見せかけることができてしまうという点。

だからこそ──
実施状況の監査が強化され、「実施証跡(エビデンス)」の提出や記録管理が求められるようになっています。


よくある違反③:インターンシップ制度の“労働化”

そして、私がかねてから警鐘を鳴らしてきたのが、「インターンシップ制度」。

そもそもこの制度は、外国人留学生が学業の一環として体験的に企業で学ぶことを目的としたものです。
ところが実際には──

  • 長期・低賃金での就労
  • 他のアルバイトと変わらない実務
  • 「教育」ではなく「労働」としか言いようがない日々

これが、全国各地で広がっています。

そして今、その実態を是正するため、出入国在留管理庁がインターンシップの在留資格の審査を厳しくしているのです。


「大丈夫と言われたから」では通用しない理由

多くの企業が口にします。

「監理団体が問題ないって言ったんです」
「登録支援機関がやってくれると思ってました」
「うちはそこまで詳しくなくて……」

ですが──
責任は、必ず“受け入れ企業”に返ってきます。

監理団体も登録支援機関も、あくまで外部の支援者。
最終的に問われるのは、企業自身の「判断」と「対応」なのです。


「知らなかった」ではなく、「調べなかった」になってしまう

いま、外国人雇用に関する監査や調査は、形式的なものにとどまりません。
現場への抜き打ち視察、面談の内容確認、書類の整合性チェックなど、
実態に踏み込んだ指導が増えています。

つまり、

「何となく大丈夫だった」が、明日には「不法就労助長」になる時代。

これは決して脅しではなく、すでに起きている現実です。


最後に──「信頼を育てる雇用」をともに

制度は、変わります。
法律も、制度も、社会も、常に変化しています。

でも、“人が人を育てる姿勢”だけは、変わってはならない。

私たちは、その信念のもと、
一社一社、一人ひとりに向き合い続けます。

どうか、皆さんの会社にとっての外国人雇用が、
「労働力補填」ではなく「人材育成」になりますように。

そのお手伝いができる日を、心から願っています。


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