技能実習制度と特定技能制度9つの違い
技能実習制度と特定技能制度は、日本における外国人材の受け入れ制度ですが、目的や受け入れ体制など多くの面で異なります。それぞれの制度の違いについて、以下の9つの観点で詳しく解説します。
1-1 制度の目的
- 技能実習制度:発展途上国の人材が日本の技術や知識を学び、帰国後に母国の発展に寄与することを目的としています。労働力の確保ではなく、「技能移転」を通じた国際貢献が主な目的です。
- 特定技能制度:人手不足が深刻な分野で、即戦力となる外国人材を労働者として受け入れることを目的としています。
1-2 法的根拠
- 技能実習制度:技能実習法に基づき、技能実習計画の認定や監理団体の支援が義務付けられています。
- 特定技能制度:入管法改正に基づき、特定技能資格の基準に従って外国人労働者を受け入れます。
1-3 受入れ対象職種・分野
- 技能実習制度:建設業、製造業、農業、介護など約80職種に渡ります。この80職種には特定技能制度の14業種も多く含まれ、幅広い産業で技能実習が行われています。
- 特定技能制度:14業種に限定され、介護、外食業、農業など日本国内で特に人手不足が問題となっている分野で活用されています。
1-4 受入れ方法
- 技能実習制度:監理団体が企業と技能実習生の間に入り、技能実習計画を策定し、監督とサポートを行います。監理団体が支援を行うことが義務化されており、技能実習生の実習環境や生活支援が提供されます。
- 特定技能制度:所属機関(受入企業)が外国人材を雇用し、必要な場合に登録支援機関がサポートを行いますが、企業が直接採用する形は少なく、登録支援機関が手続きや生活支援を行うことが多いです。
1-5 受入れ可能人数
- 技能実習制度:受け入れ人数は制度により定められており、事業者ごとに決められているわけではありません。
- 特定技能制度:政府が業種や地域ごとに受け入れ人数の枠を設定しています。企業単位での制限はありませんが、業界ごとの受け入れ上限が設定されています。
1-6 転職の可否
- 技能実習制度:原則として転職は認められておらず、同一企業で技能習得を行うことが前提です。
- 特定技能制度:同一業種内であれば転職が可能です。特定の条件を満たせば、他の所属機関に移籍することが認められます。
1-7 在留期間
- 技能実習制度:技能実習1号(1年目)から技能実習2号(2年目・3年目)へ進み、さらに条件を満たすと技能実習3号(4年目・5年目)まで延長可能です。
- 特定技能制度:特定技能1号は最大5年間、特定技能2号は無期限で在留可能です。
1-8 関係する事業者
- 技能実習制度:監理団体と実習実施機関(受入企業)が関与します。監理団体が技能実習計画の作成や技能実習生の支援を行い、実習環境や生活面でのサポートを提供します。
- 特定技能制度:所属機関(受入企業)と登録支援機関が関与し、登録支援機関が生活や就業支援を行います。ただし、監理団体と登録支援機関の両方の役割を兼ねる団体も多く存在します。
1-9 給与・月々の費用
- 技能実習制度:技能実習生も日本人と同様の待遇が義務付けられており、最低賃金が適用されます。待遇面での差が生じないように法律で保護されています。
- 特定技能制度:日本人と同等の待遇が義務付けられており、給与や福利厚生も日本人労働者と同等の基準を遵守することが求められます。
技能実習制度と特定技能制度のメリット・デメリット
2-1 技能実習・特定技能のメリット
- 技能実習制度のメリット:発展途上国への「技能移転」を通じた国際貢献が可能であり、企業にとっても一定期間実習生が業務をサポートすることで生産性向上が期待できます。
- 特定技能制度のメリット:人手不足が深刻な分野において、即戦力として外国人材を活用でき、長期的な労働力確保にも寄与します。
2-2 技能実習・特定技能のデメリット
- 技能実習制度のデメリット:「技能移転」が目的であるため、労働環境や指導力が不適切だと不満が生じる可能性があります。また、転職ができないため、適応に課題がある場合に柔軟な対応が難しいです。
- 特定技能制度のデメリット:一定の日本語能力や技能試験が必要なため、採用のハードルが高く、受け入れ企業には支援体制の整備が求められます。
技能実習から特定技能への移行方法
3-1 特定技能への移行方法~技能実習生の場合
技能実習2号を修了した外国人材は、特定技能1号への移行が可能です。この場合、日本語能力試験や技能試験が免除されるため、スムーズに特定技能に移行することができます。
3-2 特定技能への移行方法~受入れ企業の場合
技能実習から特定技能に移行する際、所属機関(受入企業)は登録支援機関を通じて支援体制を整えることが重要です。継続的にスキルを活用できるよう、生活面や就業面のサポート体制を確立する必要があります。
まとめ~今後の動向
技能実習制度と特定技能制度は、異なる目的と役割を担う制度で、日本の外国人材受け入れにおいて重要な位置付けを持っています。今後も、日本の労働市場や経済状況に応じた制度の見直しや改善が期待され、柔軟な運用が求められます。

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